気軽にあげがちな猫のおやつですが、1日のエネルギー量の10~20%に抑え、塩分量にも注意してあげなければいけません。この記事では、猫のおやつ・またたび・ねこ草の与え方や注意点、上手な活用法について解説します。
おやつの特徴・与え方・注意点
おやつは、別名「トリーツ(ごほうび)」ともいわれ、与えたときの猫の喜びに重きをおいた、間食のこと。味や形状の種類も豊富で、まさに嗜好品の“王道”です。とことん愛猫の好みに合わせられるうえ、最近では歯磨き効果や毛玉ケアなど機能性を備えたものもあります。
与え方と注意点
ルール(1)1日の摂取カロリーの10~20%以下に抑える
栄養面よりも嗜好性を重視してあるので、1日の愛猫の摂取カロリーの10~20%以下にとどめるのが鉄則。パッケージに記載されたカロリーを確認し、与えるおやつのカロリー分のフードを減らすと肥満の予防にもなります。
動物とのコミュニケーションやご褒美として与えるおやつには、「間食」(または、おやつ、スナックなど)と表示されています。栄養の補給を目的としていないため栄養基準がなく、大量に与えると栄養バランスに影響が出てしまいます。人がおやつばかり食べていてはよくないのと同じです。与える量は、1日に必要なエネルギー量の10~20%以下に抑えましょう。
また、間食の中には嗜好性を高くするために塩分が多くなっているものもあるので、ナトリウムを制限する療法食を食べさせている場合などには注意が必要です。
また、おやつを目的なく与えていると、おねだりグセにつながる可能性が。「爪切りができたから」「新しいベッドに慣れさせたいから」など必ず理由があるときに与えるようにしましょう。
ルール(2)与えるときは必ず理由を明確に
スキンシップが苦手な場合、おやつを手から与えれば、人に慣れさせることにもつながります。
ルール(3)療法食を処方されている猫には与えない
療法食は病気の治療を目的とした特別な栄養バランスのフードです。おやつを与えると、そのバランスが崩れてしますので、療法食を処方されている猫には与えないようにしましょう。
おやつの上手な与え方
猫タワーに置いて上下運動をさせる
おやつに興味をもちやすい猫なら、猫タワーや家具などの高い位置におやつを置くと、ニオイで誘導できることも。猫が上に行ったら、今度は低い位置におやつを置いて、上下運動をさせます。
キャリーケースに慣れさせる練習をする
日ごろからキャリーケースの中におやつを置いておくと、「ここはいい場所」と印象付けられ、猫が自ら入るように。ふだんから慣れさせておくと、動物病院へ行くときなどもスムーズです。
またたびの特徴・与え方・注意点
またたびは、山地に自生する落葉低木の一種。猫が口にしたりニオイを嗅いだりすると、マタタビラクトンなどの成分に反応し、のどを鳴らしてヨダレをたらすなどの恍惚状態になることも。粉末が一般的ですが、スプレータイプやまたたびが練り込まれた粒タイプもあります。
与え方と注意点
ルール(1)与えるときは耳かき1杯分
猫の反応によりますが、与えるのは0.5g以内が理想。たとえば爪とぎ器などに付属されている個包装のまたたびは、すべて使うと多いくらいです。様子を見ながら少しずつ与えるようにしましょう。
ルール(2)超高齢猫や刺激に弱い猫には与えない
またたびを与えたあとに出る反応は、少なからず猫の体に負担がかかるもの。15歳以上の超高齢猫や、心臓が弱い猫などにはなるべく与えないでください。おもしろがってむやみに与えるのは×。
またたびの上手な与え方
同居猫とのケンカの仲裁にスプレータイプを
猫同士でけんかをしているとき、猫タワーや壁などにスプレータイプのまたたびをかけても効果的です。その場所へスリスリしに行くなど、ケンカに夢中になっている猫の気をそらすことができます。
ねこ草の特徴・与え方・注意点
ねこ草はエンバクや小麦などイネ科の若草で、野生時代には自然に生えていたものを食していたそう。噛んだときの食感が特徴で、好んで食べるようになったのだとか。猫によっては毛玉ケアや便通が良くなる場合も。
与え方と注意点
ルール(1)若葉以外は与えない
市販のねこ草は若葉なのでやわらかいのが特徴です。成長しすぎたものは硬く、胃腸を傷つけることがあります。また、路上に生えているものは伝染病のおそれや、除草剤が使用されていることもあるので×。
ルール(2)胃腸が弱っている猫や尿結石がある猫にはNG
消化不良を起こし食べたあとに吐くおそれがあるので、胃腸が弱っている猫にはかえって負担になることもあります。また尿結石をつくりやすい側面があるといわれているため、すでに結石がある猫やできやすい猫には与えないでください。
ねこ草の上手な与え方
フードにトッピングして与えても○
猫がウンチを出しにくそうにしている場合や、十分に出ていないようなときに数本与えてもいいでしょう。その際は、与えすぎないようにトッピングするのがベター。
おやつ・またたび・ねこ草など猫の嗜好品を上手に活用すれば、スキンシップやお手入れなどに役立つこともあります。与える際は、それぞれの特徴や注意点をよく理解してから使用しましょう。
監修/長谷川諒先生(きたじま動物病院)
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより