猫と暮らす
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【獣医師監修】猫への水の与え方 与える量や水の種類・注意点は?
乾燥地帯での生活をルーツにもつ猫は、あまり水を飲まなくても生活できます。しかし、そんな猫でも、生きていくうえで水は大切です。また、猫の体は約70%が水分でできているので、生命を維持するためにも水分摂取は大切だといえるでしょう。この記事では、猫への水の与え方について、基本的な知識をご紹介します。

長谷川 諒 先生
株式会社Ani-vet 代表取締役
保護猫施設専門往診病院 下京ねこ診療所 院長
動物病院京都 ねこの病院 所属獣医師
北里大学獣医生化学研究室 研究生
●所属:日本猫医学会/日本獣医腎泌尿器学会
●書籍(監修):『知っておきたい ネコの多頭飼いのすべて 獣医師が教える 幸せに暮らすためのポイント』メイツ出版 /『いちばんよくわかる猫種図鑑 日本と世界の60種』メイツ出版
猫にとって水が大切な理由と基本の与え方
「水」は動物の生命維持に最も不可欠なもの
動物が1日に必要とする水分量(ml)は、その動物が1日あたりの必要なエネルギー要求量(Kcal)とほぼ同じですが、年齢・基礎疾患の有無・下痢や嘔吐の有無などによっても異なります。
猫への水の与え方
水は、1日1回は必ず取り替えましょう。適切な食事と水を与えることで、膀胱炎など泌尿器疾患の予防にもつながります。
与える水は水道水でも大丈夫ですが、ミネラルウォーターの場合はその性質に注意しましょう。硬水の場合、猫がなりやすい病気のひとつ、尿石症の原因となるマグネシウムなども多く含まれています。
猫に多い水へのこだわり
「この水は安全」と思えた水だけを飲む
そのため、水を飲む際に、先に水面を触ったり、念入りにニオイを嗅いだりする猫もいます。猫は鼻もよく、水の味もわかるので、その猫が自分で好きだ、安全だと思える水を選んで飲んでいるのでしょう。
これらが「猫は水にこだわりが強い」といわれる由縁です。
体温程度の水を好む
容器の素材や形にこだわる猫も
また、ひげは大切な感覚器官なので、水を飲むときに濡れるのを嫌がる猫も。飲み口が広い水飲みボウルは、ひげを濡らさず快適に飲めるので好む猫が多いようです。
猫と水に関するQ&A
【A】どちらでもOKです。基本的には水道水で構わないのですが、猫が塩素のニオイを気にするタイプなら、浄水のほうがよく飲むかもしれません。どちらの場合も猫の食事のタイミングで器をきれいに洗い、水を入れ替えましょう。ただし、特定のミネラルを添加するタイプの浄水器の水は避けてください。
【Q】猫に与えてはいけない水は?
【A】不衛生な水や、ミネラル含有量が多い水は与えないでください。雑菌やカビなどが繁殖している可能性がある、たまり水などは当然NGです。また、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル分を多く含む水も飲ませないでください。とくに硬水のミネラルウォーターは猫には不向きです。
また、お米のとぎ汁もNGです。まれに好む猫がいますが、ミネラル含有量が多いので飲ませないほうが無難です。
【Q】猫の標準的な飲水量はどれくらい?
【A】食事内容などによって異なりますが、目安は体重3kgの猫が1日に必要とする水分量を計算すると160cc程度です。ただし、これには食事からとる水分も含まれます。また、環境・年齢・体調によっても異なります。愛猫の適正量を知りたい場合は、主治医に相談してみてください。
【Q】飲水量はどうやってチェックすればいいの?
【A】与える前後に水を量って比較して。器に入れた水の量と、猫が飲み残した水の量を比較するだけでOKです。一定量の水を器に入れ、水を入れ替える際、猫が飲み残した水を量ります。その差がおよその飲水量になります。
【A】最低限、匹数分の飲み水を用意してあげましょう。それぞれを離して置いてください。 猫同士の関係性によっては、相手のニオイが付いた水を飲むのを嫌がる猫もいます。そのため、猫たちが、自分の水を確保できるよう、最低限でも匹数分の飲み水を用意するのがベター。また、苦手な猫が近くにいると飲むのを我慢してしまうこともあるので、器は距離を離して置くといいでしょう。その他、猫たちが好きな素材の器を使うとよいでしょう。
【Q】飼い主が留守がちの場合は何を注意すればいいの?
【A】水飲みボウルに容量の大きい、重い器を使いましょう。猫の飲み水を切らさないようにしましょう。そのためには、たっぷりの水を用意しておくのはもちろんのこと、器が倒れてしまわないよう、重さがあって安定感のあるものを用いるといいでしょう。その他、器の下に滑り止めシートを敷いたり、複数個所に水飲み場をつくったりするなどもいいでしょう。
【Q】猫が水のニオイを執拗に嗅ぐ場合はどうしたらいいの?
【A】自動給水器を使ってみましょう。ニオイを嗅ぐということは、その水の汚れやカルキ臭を気にしているのかもしれません。水を循環させ、フィルターで不純物をろ過する機能がある自動給水器を使えば、それらを軽減できるでしょう。
【Q】飲む量や回数が少ない場合はどうしたらいいの?
【A】ウエットフードも与えてみましょう。一度に飲む量や回数は、猫のよってさまざま。その個性を変えるのは難しいので、フードで水分をとらせるのも手です。ふだん与えている食事の一部を、ウエットフードに替えてみましょう。ウエットフードは嗜好性が高く、また水分が約80%も含まれているので、水分摂取量を増やすことができます。
そのほか複数個所に水飲み場を作る、猫の導線に飲み水を置くなどもよいでしょう。複数個所に水飲み場があると、猫の気が向いたときに近くの水を飲みやすいようです。
【Q】夏場とくに気をつけてあげることは?
【A】熱中症になりやすい時期なので工夫をしてあげましょう
暑いからといって、水飲みボウルに氷を入れておくだけでは対策としては不十分。水の温度にこだわる猫は意外と多いもの。常温の水や氷を入れた水をいくつか置いて、猫がよく飲む温度を探してあげましょう。暑いと雑菌が繁殖しやすくなるので、こまめに取り替えることも忘れないでください。
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより
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