猫の生態・習性を理解して、できるだけその生活スタイルやペースを尊重してあげると猫も人との暮らしが楽しくなるはずです。猫のことをより深く知って、猫も人もハッピーな生活を目指しましょう。
猫の生活スタイルの特徴~行動編~
野生時代からの習性など、行動に関する猫の生活スタイルの特徴について解説します。
基本は単独行動
猫は群れを作らず、1匹で行動します。ただし飼い猫の場合は食べ物が足りているので、複数飼いされていても縄張りを共有したり、仲良くつるんだりするケースもあります。
縄張りパトロールが日課
室内飼いでは境界があいまいですが、一般に猫は休息や子育てをする縄張り(テリトリー)を拠点とし、その周りの行動圏を毎日パトロールしています。これは異性と出会ったり、安全チェックや狩り(食事)をしたりするためです。
根っからのハンター
もともと猫はネズミや小鳥など、小動物を狩って暮らしていました。人と暮らすようになった今でも、猫じゃらしを相手に真剣に狩りをしたり、虫や小動物を実際に捕まえたりしてくる猫もいます。
夜型または早朝型
猫が本来活動するのは、夕方から夜と明け方です。いずれも薄暗さが残る時間帯で、獲物であるネズミなどの活動時間と重なると考えられています。
警戒心が強い
野生時代、単独で行動していた猫にとって、生き残るためには敵から逃げて、危険を回避して身の安全を守る警戒心が必要でした。人には怖がり、人見知りと見えることもありますが、猫のごく自然な性質なのです。
きれい好き
トイレにウンチやオシッコが残っていると、排泄できない猫もいるくらい汚れた状態が苦手です。体に付いた汚れなどもすぐになめとります。
猫の生活スタイルの特徴~生理現象編~
食事や睡眠など、生理現象に関する猫の生活スタイルの特徴について解説します。
1日の3分の2は睡眠・休息
突然訪れる狩りのチャンスに体力を温存しておくため、ふだんは体を休めています。狩りの必要がない今でもその習慣が残っているのです。
食事は少量を何度も食べる
猫は「ちょこっと食べ」を1日のうちに何度もするのが本来の食べ方です。そのため与えたフードを一度では完食せず、数時間かけて少しずつ食べます。
発情するのはメス
生殖のための周期的な変化“発情”が明確なのは、実はメスだけです。発情期は不妊手術をしなければ生涯、年に2〜3回訪れます。発情中のメスのニオイや鳴き声に反応して、オスが大声で鳴いたり、オシッコをスプレーのように飛ばしたりしてアピールします。
春と秋が換毛期
一般に猫は暖かくなる春に夏毛へ、寒くなる秋に冬毛へ、毛が抜け変わります。しかし完全室内飼いが多い最近は、季節による寒暖の差が少なくなり、換毛期が見られない猫もいます。
猫がよく見せる5つのしぐさの意味は?
猫と一緒に暮らしていると、猫が頻繁に見せるいくつかのしぐさを発見します。本能に由来する、代表的な5つのしぐさの意味を紹介します。
前足で交互に押すのは甘え気分
柔らかい毛布や人の体などに、前足を交互に踏むように動かす“ふみふみ”行動。これは授乳期に母猫のおっぱいを押して飲んでいた名残です。子猫時代を思い出し、甘えたい気分のときにすることが多いようです。
爪とぎは爪のメンテナンス&ニオイ付け
両前足の爪でカリカリと引っかく、爪とぎ行動。これは一つには、古い爪をはがすメンテナンスの意味があります。また肉球の近くの分泌腺から出るニオイを擦り付けて、自分の存在や行動圏をアピールする意味もあります。
毛づくろいは毛のメンテナンス&安心
舌の表面のトゲをブラシのように使い、全身をなめる毛づくろい。汚れなどを取り除いて毛並みを整える意味のほか、慣れ親しんだ自分のニオイを付けることで、落ち着きたい、安心したい気持ちもあります。
排泄物への砂かけはニオイ隠し
単独で狩りをしていた昔の猫は、敵や獲物に自分の気配を気付かれないように、排泄物や食べ残しには、砂をかけてニオイを隠していました。現代の猫が掘るようなしぐさで排泄物に砂をかけるのは、その名残です。
具や人に頬を擦り付けて安心
耳の付け根や頬などの顔周りにニオイの分泌腺があり、猫がよく家具や人に擦り付けています。自分をアピールする「マーキング」行動の一つですが、家の中でする場合は、自分が安心したい意味合いが強いようです。
猫の生活スタイルの特徴や、よくする行動・しぐさの理由について解説しました。ぜひ、愛猫との絆をより深めるために役立ててくださいね。
監修/長谷川諒先生(きたじま動物病院)
文/ねこのきもちWeb編集室
参考&画像・イラスト出典/「ねこのきもち」本誌、ムックより