愛猫が苦しそうに毛玉を吐く姿を見て、心配になる飼い主さんも多いようです。そこで今回は、毛玉を吐く理由や普段からできる毛玉対策を紹介し、専用のキャットフードの選び方などの疑問にも回答します。
毛玉を吐く理由と吐き出すものは何か
毛玉の正体とは?
猫は、ブラシのようなトゲのある舌で自分の体を舐めて毛づくろいを行いますが、その際、被毛に付着した汚れや抜け毛をそのまま飲み込んでしまいます。そして、それが体内に蓄積していってできたものが“毛玉”の正体です。換毛期(夏毛に変わる3月頃からと、冬毛に変わる11月頃からの年2回)や多頭飼いの環境で増えることもあります。
なぜ毛玉を吐くの?
猫が毛玉を吐くのは、体内に蓄積した毛を吐き出すためです。猫の口から体内に入った抜け毛は、その多くが消化されないまま体内に蓄積されていきます。ウンチと一緒に排出されるのはごくわずかで、前述通り、吐き出されるものの正体は消化できなかった抜け毛です。
⽑⽟を吐くこと自体は異常なことではありませんが、食欲不振などを引き起こす恐れがあります。また、猫と室内で生活している場合、吐いている姿が苦しそうに見えて気になりますし
家が汚れることも困ることが多いのではないでしょうか。
毛玉によって生じる症状は?
大量に飲み込んだ抜け毛が大きな毛玉になると、食欲不振や嘔吐を引き起こすことがあります。これらの症状については、下記の記事も参考にしてみてください。
お家でできる毛玉対策
毎日のブラッシング
ふだんから気軽に取り入れられる毛玉対策、それはブラッシングです。猫が大量の抜け毛を飲み込むことのないように、こまめにブラッシングをすることで、効率良く抜け毛を取り除きましょう。ここでは、おすすめのブラッシング法をご紹介します。
《用意するもの》
短毛 ⇒ ラバーブラシ(抜け毛を吸着して除去できる)
長毛 ⇒ スリッカーブラシ(毛の奥までピンが届く)&コーム(毛をほぐしやすい)
◇1.首の後ろ→お尻をブラシでとかす
背中は自分で毛づくろいがしにくく、抜け毛が残りやすい部位です。首元を軽く押さえながら、毛の流れに沿ってとかします。短毛は特にしっかりと!
◇2.脇→後ろ足をブラシでとかす
脇から後ろ足に向けて、後ろ足の付け根くらいまでをブラシでとかします。ブラシをかけるほうの前足を軽く持ち上げるのがコツです。
◇3.首まわりをブラシでとかす
片手であごを上げるようにして、前から毛の流れに沿ってとかし、ブラシを少しずつ横へ動かします。長毛の場合は胸元の毛もかなり抜けるので、首の前から胸元にかけて、しっかりとかしてあげましょう。
◇4.しっぽをブラシでとかす
長いしっぽは意外と抜け毛がある部位です。付け根から先端に向けて一気にとかしてください。このとき、しっぽは握らず、手を添えるだけにしましょう。
短毛の猫はここで完了です!
◇5.脇の下→お腹をコームでとかす
ここからは、より毛をほぐしやすいコームを使うのがポイントです。とかすほうの前足を軽く持ち上げて、脇の下からお腹へ向けてとかしましょう。
◇6.内股をコームでとかす
根元までしっかりコームが入るように、片方の後ろ足を軽く持ち上げてとかしましょう。
これで長毛の猫も完了です!
◇毛が絡まって被毛に毛玉ができていたら?
毛が絡まっていたら、無理に引っ張ってはいけません。毛玉ができている周辺の毛の束を取り、手で裂くように丁寧にほぐしたあと、仕上げにコームで毛先から少しずつとかしていきましょう。
毛玉対策用のフードを与える
毛玉対策には、こまめなブラッシングとあわせて、日々の食事でケアすることも大切です。現在では、毛玉ケアを行うことができる機能性フードが販売されており、そういったフードは、毛づくろいによって飲み込んだ毛を、ウンチと一緒にスムーズに排出できるよう調整されています。
どんなフードを選べばいいの?
「毛玉ケア」や「ヘアボールコントロール」などと表示されている機能性フードを選びましょう。そういったフードには、可溶性食物繊維源であるサイリウムや不溶性食物繊維などといったさまざまな食物繊維が含まれており、毛玉のスムーズな排出を促してくれます。また、その他にも体内で毛玉が作られるのを防止してくれる「ラキサトーン」や「ペトロモルト」といった動物用医薬部外品の”毛玉除去剤”なども販売されています。毛玉対応の機能が入ったフードは総合栄養食にもありますので、毛玉が気になる場合は、取り入れてみてもいいでしょう。不安がある場合はかかりつけの獣医師に相談することが大切です。
毛玉ケアフードに切り替えるときのコツは?
フードを急に切り替えることは、嘔吐の原因にもなってしまいます。そのため、まずは食べ慣れたフードに切り替えようとする新しいフードを1割程度混ぜ、様子を見ながらその割合を増やしていくことで、徐々に新しいフードに慣らしていくようにすると良いでしょう。
毛玉ケアフードは毛玉を吐く猫にしか与えてはいけないの?
毛玉を吐かない猫に与えても問題ありません。お腹の中に大量の抜け毛が蓄積されてしまわないよう、吐かない猫も毛玉ケアフードで日頃からケアしておくことをおすすめします。
こまめなブラッシングと専用フードで愛猫の負担を軽減しよう
猫が毛玉を吐くのは正常な生理反応ではありますが、それによって体液が失われるため、その行為自体は身体に負担がかかるものです。愛猫の身体のためにも、できるだけ吐く回数を減らせるように、日頃からブラッシングや日々の食事などで毛玉ケアに気をつけたいものですね。
監修/徳本一義先生(有限会社ハーモニー代表取締役)