猫と暮らす
UP DATE
獣医師監修|うちの猫、発情期?正しく知りたい、時期や期間、オス・メスの違いなど
急に大きな声で鳴き出したり、トイレ以外で粗相したりと、愛猫がふだんと違う行動をとるのは発情期を迎えたサインかもしれません。そこで今回は、猫が発情期を迎える時期や行動、発情期かどうかの見極め方、発情期を迎えた際の対応方法について解説します。
佐藤 貴紀 先生
目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院顧問
VETICAL動物病院(オンライン相談)
慶應義塾大学大学院経営管理研究科
●経歴:
麻布大学獣医学部卒業
西荻動物病院副院長
日本獣医生命科学大学獣医内科学教室研修生
dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長
株式会社FORPETS設立 白金高輪動物病院院長
株式会社FORPETS代表取締役
JVCC動物病院グループ代表取締役
株式会社WOLVES Hand取締役
●資格:獣医師/獣医循環器認定医
●所属:日本獣医循環器学会
●主な診療科目:循環器科
●書籍:『いぬのココロがわかる本』ぶんか社文庫/『お仕事熱血ストーリー 感動する仕事!泣ける仕事!第2期』学研/『教えて!獣医さん 犬の悩みなんでも相談室』学研プラス/『猫の急病対応マニュアル』鉄人社/『動物たちのお医者さん』小学館ジュニア文庫/『犬の急病対応マニュアル』鉄人社
●SNS:公式Facebook/公式ブログ/公式Twitter/YouTube『名医のいる相談室』
猫の発情期って何? 期間や開始時期
発情期はオス・メスともに迎えますが、実際にはオス猫の発情期はメス猫が出すフェロモンと発情の行動によって誘発されるため、季節の影響で発情期を迎えるのはメス猫だけです。
猫が最初の発情期を迎える年齢
例えば、オス猫が本格的な発情期を迎えるのは生後9か月以降とされていますが、実際にはもう少し早い時期から、発情期に特有な行動がみられることもあります。また、オス猫よりも成熟が早いメス猫は、生後5か月以降には本格的な発情期を迎えることが多いようです。
ちなみに、長毛種の猫は短毛種の猫よりも成熟するのが遅い傾向があり、初めての発情期を迎えるのが生後12か月以降になることも。遅いと生後18か月ごろになる場合もあります。
猫が発情期を迎える季節や周期
猫は発情期を迎える年齢に達したとしても、適切な時期(妊娠期間を経て出産した際に、暖かくて食べものが多く、安全に子育てがしやすい時期)にならない限り、発情することがないような仕組みが体に備わっているのです。
また、メス猫の発情期には、「発情前期」「発情期」「発情後期」「発情休止期」の4つのサイクルから成る「発情周期」があります。発情期行動開始から卵胞の退行までに当たる、「発情前期」「発情期」「発情後期」までの期間は14日~21日程度、その後、数日~半月程度の発情休止期を経て、再び発情期を迎えるサイクルを繰り返すとされていますが、実際の日数には個体差があり、かなり短い日数で頻繁に発情周期を繰り返す場合もあります。
この発情期のメカニズムは、自然の太陽光だけでなく人工灯でも引き起こされるため、家の照明に長く当たる可能性のある室内飼いの猫は、発情期が長くなったり、季節関係なく発情が起きたりすることもあるでしょう。
オス・メスで違う!猫が発情期にする行動
オス猫の発情期行動
- 外に出たがる
- ふだんよりも大きな声で鳴く
- マーキング(スプレー行動)をする
- ナーバスになって攻撃的になる
- 同居猫や人の足などに馬乗りになる、また、それとあわせてきつく噛んでくる など
また、実際の交尾の際に特徴的な行動として、メス猫に馬乗りになり、その首元をかなりきつく噛むしぐさがみられます。発情期にもこういった特徴あるしぐさが多くなる傾向があります。
メス猫の発情期行動
- 食欲がなくなる
- ふだんより大きな声で鳴く
- クネクネと寝転んでニオイをつける
- トイレ以外の場所で粗相(そそう)をする
- 這いつくばる姿勢から腰を持ち上げて振る
- しっぽの付け根を刺激してほしがる など
「ニャーニャー」「スリスリ」これって発情期の行動?
ニャーニャー激しく鳴いて体をこすりつける
おしっこのニオイがきつくなる
まだ4か月なのに発情期っぽい行動をする猫も
それとあわせて、発情期のストレスをできるだけ減らせるよう、たくさん遊んであげるなどの対応をするのもいいでしょう。また、その後頻繁に発情期をくり返すなどの状況になると、体に負担がかかる場合もあります。まずは早めに、かかりつけの動物病院にも相談をしましょう。
猫が発情期を迎えた場合にすべきこととは
スプレー行動をした場所はすぐに掃除する
トイレでスプレー行動するように誘導する
どうしてもスプレー行動が気になる場合は、よくスプレーする場所にトイレシートや撥水性のシートを貼って、壁に直接スプレーされないよう工夫してみましょう。徐々にシートを貼る場所をトイレに近づけていき、最終的にトイレでスプレーするよう誘導するのもひとつの手です。
昼間のうちによく遊ぶ
家の中を広く開放して好奇心を満たす
ご近所に飼い猫の発情期を知らせておく
これはNG!発情期を迎えた猫にしてはいけない対応
またたびを過剰に与える
また、またたびを過剰に摂取させると興奮して攻撃的になるほか、体質によっては嘔吐や下痢を引き起こすこともあるので、発情期のたびに与えるのは避けたほうがよいでしょう。
外に出す
発情期でなくても猫は完全室内飼いが推奨されていますので、厳重に戸締りをして外に出さないようにしましょう。また、愛猫が興奮しないよう、窓際や玄関など外が見やすい場所に出入りできないようにすることも大切です。
構いすぎる
大声で叱る
綿棒で刺激を与える
メス猫の膣内はデリケートな場所なので、無理に綿棒で刺激を与えようとすると、粘膜を傷つけてケガをさせるおそれがあるため大変危険です。
去勢・避妊手術も検討しよう
去勢・避妊手術のメリットとデメリット
メリット
- 大声で鳴かなくなる
- 外に脱走したがらなくなる
- 発情期中に感じるストレスが軽減する
- マウンティングやスプレー行動が減る(オスのみ)
- 噛む・ケンカするなどの攻撃的な行動が弱まる(オスのみ)
- 乳腺や生殖器系の病気を予防できる(メスのみ) など
デメリット
- 麻酔による副作用が出る場合がある
- 手術後に体重が増加する場合がある など
手術をするタイミング
なお、多くのオス猫は去勢手術をすると、マウンティングやスプレー行動などの発情期行動をしなくなります。しかし、一度発情期を迎えている場合や、もともと縄張り意識の強い気質だったり、優位行動としてこれらの行動をしていたりする場合には、術後も習慣として残ることがあるようです。
おうちでの対応でや工夫で、発情期行動がおさまる気配がないようなら、一度動物病院で相談してみましょう。
発情期は猫にとって自然なこと
とはいえ、交尾をしないのに発情期が続くことは、猫にとってはストレスがたまる原因にもなり、体の負担になる場合や、病気の原因になることもあります。去勢・避妊手術はそういったストレスが軽減されるだけでなく、発情期における問題行動の解消や病気の予防もしてくれるので、愛猫の健康のためにも積極的に去勢・避妊手術を検討してみてくださいね。
「ねこのきもち」2017年5月号『術後の”?”もスッキリ!去勢・避妊手術のすべて』
「ねこのきもち」2018年4月号『春は猫もソワソワ、ワクワク。猫の恋劇場』
監修/佐藤貴紀先生(目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院 循環器担当)
文/pigeon
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
UP DATE