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【獣医師監修】治らない猫の鼻水、原因は? 色や状態でわかる受診の目安

猫の鼻水にはどのような病気が潜み、どのような鼻水が出ているときは注意が必要なのでしょうか。今回は、猫の鼻水の原因や、鼻水の色・状態別に疑われる病気、動物病院を受診する目安、飼い主さんにできるケア、予防法について解説します。

佐藤 貴紀 先生

 獣医師
 目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院顧問
 VETICAL動物病院(オンライン相談)
 慶應義塾大学大学院経営管理研究科

●経歴:
麻布大学獣医学部卒業
西荻動物病院副院長
日本獣医生命科学大学獣医内科学教室研修生
dogdays東京ミッドタウンクリニック副院長
株式会社FORPETS設立 白金高輪動物病院院長
株式会社FORPETS代表取締役
JVCC動物病院グループ代表取締役
株式会社WOLVES Hand取締役

●資格:獣医師/獣医循環器認定医

●所属:日本獣医循環器学会

●主な診療科目:循環器科

●書籍:『いぬのココロがわかる本』ぶんか社文庫/『お仕事熱血ストーリー 感動する仕事!泣ける仕事!第2期』学研/『教えて!獣医さん 犬の悩みなんでも相談室』学研プラス/『猫の急病対応マニュアル』鉄人社『動物たちのお医者さん』小学館ジュニア文庫『犬の急病対応マニュアル』鉄人社

●SNS:公式Facebook公式ブログ公式TwitterYouTube『名医のいる相談室』

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猫の鼻水の原因とは?考えられる病気とその特徴

猫の鼻のクローズアップ写真。かわいい飼い猫
morgan23/gettyimages

1:アレルギー

猫も人と同様に、ハウスダストや化学物質、食品などによってアレルギー症状を引き起こすことがあります。これらのアレルギー物質に体が反応した結果、鼻炎を発症して鼻水が出るのです。

アレルギーの代表的なものとしては「アレルギー性皮膚炎」がありますが、その症状として鼻水以外に嘔吐、下痢、かゆみなども伴います。猫のアレルギー性皮膚炎については、以下の記事を参考にしてみてください。

2:クリプトコッカス症

クリプトコッカス症とは、鳩の糞に多く存在しているクリプトコッカス属真菌(カビの一種)による感染症で、鼻などから吸い込むことで感染する人畜共通感染症です。
健康な猫がクリプトコッカスに感染しても、症状があらわれないケースがほとんどですが、なかにはくしゃみや鼻水、食欲不振、元気のない様子が見られる場合もあります。

3:肺炎

肺炎はウイルス感染、細菌感染、アレルギー、誤嚥、異物の吸引などさまざまな原因で起こる病気です。原因によっても異なりますが、咳や鼻水、くしゃみや発熱などの症状が見られ、呼吸困難によって重症化するおそれも。猫の肺炎に関する詳しい情報は、以下の記事を参考にしてみてください。

4:副鼻腔炎

副鼻腔炎は、鼻の奥にある空洞に炎症が起こることによって発症します。くしゃみが出たり、粘り気のある緑色の鼻水が出たりするときには、副鼻腔炎にかかっている可能性が考えられます。

5:猫風邪

猫風邪とは、鼻水やくしゃみ、発熱、咳など、人の風邪とよく似た症状があらわれる、ウイルスや細菌による感染症の総称です。猫風邪の原因となるのは、主にカリシウイルスとヘルペスウイルスの2種類のウイルスですが、まれにクラミジアなどの細菌が原因となるケースも。猫風邪に関する情報は、以下の記事を参考にしてみてください。

6:鼻腔内腫瘍(例として鼻腔リンパ腫)

鼻腔内でリンパ腫ができる病気です。リンパ腫は血液ガンのひとつで、白血球がガン細胞化してしまった状態です。猫の鼻や顔の形までが変形するほど腫れあがることがあるため、異常に気づく飼い主さんも多いでしょう。
鼻水に血液が混じっていたり、くしゃみと同時に鼻から出血したりする場合は、この鼻腔内腫瘍が疑われます(腺ガンなどでも鼻出血は起こります)。

7:歯周病

歯周病とは、歯肉に炎症が起こる歯肉炎や、歯のまわりの組織が炎症を起こす歯周炎の総称です。病気が進行すると歯を支える骨が溶け、鼻までつながる管ができるため、口から入った細菌がその管を通って鼻を刺激し、鼻水やくしゃみの症状が出るようになることが。
猫の歯周病については、以下の記事を参考にしてみてください。

猫の鼻水の色や状態からわかること

クローズアップ猫、ラウンド目をお好みの鼻
Seregraff/gettyimages

透明な鼻水が出ている場合

にごりがなくさらさらとした透明な鼻水が出ているときは、季節性のアレルギーもしくは猫風邪などの感染症にかかっているおそれがあります。鼻水が1週間以上続いたり、黄色く変色したりしてきた場合には、症状の進行を疑ったほうがよいでしょう。

黄色〜緑色の鼻水が出ている場合

黄色~緑色の鼻水が出る場合は、細菌やウイルスなどの異物が鼻の粘膜に付着した可能性が考えられます。副鼻腔炎や伝染病などにかかっているおそれもありますので、注意が必要です。

なお、猫の鼻水の色をチェックした際、粘り気が強く色の濃いものほど危険な状態にあると考えてよいでしょう。

ピンクや赤の鼻水が出ている場合

鼻水にピンクや赤い色がついている場合は「血性鼻汁」と考えられます。血性鼻汁は慢性副鼻腔炎などでも見られますが、鼻腔内腫瘍であれば高頻度で見られる重篤な症状です。今まで症状のなかった高齢の猫で鼻水が持続している場合は注意が必要です。

黒い鼻クソがついている場合

鼻に黒い鼻クソがついているとき、多くの場合はカーペットの繊維や部屋のほこりなどが原因です。これまでより念入りに部屋を掃除して、細かい繊維を出にくくすれば、黒い鼻クソがつくことは防げるでしょう。

鼻水の症状が見られたときに動物病院を受診する目安

やる気のある猫
ramustagram/gettyimages
猫は人と同様、生理現象として鼻水が出ることもあります。そのため、水を飲んだ後や生理現象としてくしゃみをした後に一時的に鼻水が出る場合は、様子を見てもよいでしょう。

しかし、何らかの病気やアレルギーが疑われる場合は、必ず動物病院を受診してください。特に、鼻水が頻繁に出る場合や、発熱、食欲の低下、涙、目ヤニなど目の炎症が続いているときには、早めの受診が肝心です。

飼い主さんができる猫の鼻水のケア

ふわふわの飼い猫の口ひげ、鼻、口ひげ
Aleksandra Selivanova/gettyimages

鼻水を拭き取る

鼻水の場合

猫が鼻水を出しているときは、鼻の中や入口で固まってしまわないよう、こまめに拭き取る必要があります。強くこすると出血する場合もあるので、鼻の頭から穴に向かってやさしくマッサージしながら、ティッシュで拭き取ってあげましょう。

鼻クソになっている場合

少し固まった鼻水や鼻クソがついている場合は、無理に剝がそうとせず、蒸しタオルを鼻に当ててふやかしてから取ってあげてください。

鼻クソが鼻の中にある場合は、湿らせた綿棒を鼻の縁に置き、綿棒を回転させながら先端を下方向に移動させ、鼻クソを取り除いてあげましょう。鼻クソをうまく取る自信がない場合は、動物病院で取ってもらうのがおすすめです。

薬を飲ませる

鼻水の原因によっては薬を処方されることもありますが、猫が嫌がって薬を飲まないこともあるでしょう。基本的にシロップや粉薬はスポイトで飲ませるので、ふだんから薬を入れていないスポイトを口の中に入れて、慣らしておくとよいでしょう。

猫がスポイトを嫌がって薬を飲んでくれない場合は、薬をいつも食べているフードに混ぜたり、猫の好物に包んだりして与えると一緒に飲んでくれることがあります。また、服薬ゼリーやオブラードに包むと、水やゴハンに混ぜる場合よりも薬のニオイや味がわかりにくくなる場合も。

猫の薬の飲ませ方については、以下の記事で詳しく解説しているので、気になるかたは参考にしてみてください。

ゴハンの与え方を工夫する

動物病院で療法食などを指定されていなければいつもと同じ食事で問題ありませんが、鼻が詰まっているとニオイがわかりにくくなるので、食欲が落ちてしまうこともあります。

その場合は、ドライフードならお湯でふやかし、ウエットフードなら人肌温度に温めてあげると、ニオイがたつので食欲をそそられるかもしれません。それでも食欲が出ない場合は、栄養価の高いゴハンを少量ずつに分けて食べさせてあげてください。

猫の鼻水を予防するためにできること

愛らしいタビー猫のスタジオショット
vauvau/gettyimages

完全室内飼いをする

鼻水の原因となるウイルスや細菌の感染を防ぐためには、猫を完全室内飼いすることをおすすめします。愛猫を鼻水などの不快な症状や病気から守ってあげましょう。

定期的にワクチン接種をする

鼻水を症状とする病気のなかには、定期的なワクチンの接種によって防げるものもあります。猫のワクチンに関する詳しい情報は、以下の記事を参考にしてみてください。

生活環境を整える

アレルギー反応が原因の鼻水を防ぐには、猫がいる環境を常に清潔な状態に保ってあげる必要があります。掃除機による掃除以外にもほこりが舞わないように水拭きをしたり、猫が使うものをこまめに洗濯してあげたりすると、アレルギーの予防につながるでしょう。

猫を複数飼いしている場合は特に鼻水に注意して

寄り添う子猫
DebraCarrPhotography/gettyimages
なお、猫を複数飼いしている場合は、1匹が猫風邪などの感染症に陥ると、その猫の鼻水によってほかの猫が感染してしまうおそれがあります。もし1匹の猫に鼻水などの症状が見られ、感染症の疑いがあるときは、部屋を隔離するなどの処置も必要でしょう。
猫の鼻水には危険な病気が隠れているケースも見られるため、気になるときは早めに獣医師の診察を受けると安心です。
参考/「ねこのきもち」2017年12月号『甘く見ないで! 猫カゼは人のカゼとは違うんです』
   「ねこのきもち」2020年5月号『5月10日はコットンの日!ねこにも地球にもやさしいコットン拭きでかんたんササッと愛猫ケア』
監修/佐藤貴紀先生(目黒アニマルメディカルセンター 隅田川動物病院 循環器担当)
文/こさきはな
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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