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獣医師監修|キャットフードの原材料の安全性や表示の読み方、種類を解説!
愛猫に毎日与えるキャットフードにどんな原材料が使われているのか、気になるかたも多いでしょう。そこで今回は、キャットフードに使用される原材料の安全性や原材料表示の読み方、添加物を含む主な原材料の種類と役割、原材料に関するFAQをご紹介します。
危険な原材料が含まれている? キャットフードの安全性に関するFAQ
キャットフードの安全性に関するFAQ
キャットフードに使用されるチキンミールとは?危険な原材料?
キャットフードに使用されているビートパルプとは?危険なの?
しかし、これはあくまで分析のために行う処理であり、キャットフードの原材料に使用されるビートパルプを硫酸で処理することはありません。ビートパルプは安全な原材料ですので、安心してください。
キャットフードに使われている添加物は危険?
キャットフードの安全性は「ペットフード安全法」などによって守られている
しかし、日本にはペットフードの安全性を保障する「ペットフード安全法(正式名称:愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)」という法律があります。
この法律では、安全なペットフード流通のための守るべき基準や規格が、国によって設けられており、事業者はそれを守って製造・輸入・販売することが義務付けられています。また、同法で定められた基準・規格を満たしていないキャットフードは、国から廃棄・回収などを命令されるケースも。
つまり、この法律が守られている限り、猫の健康に悪影響を与えるような、危険なキャットフードが日本の市場に出回ることはありません。日本で流通するキャットフードはすべて安全性の認められたものですので、そのなかから最適なものを選んで、愛猫に与えてあげることが大切です。
キャットフードの原材料表示の読み方
原材料名は「重量の割合の大きいもの」から記載
それによると、「添加物以外の原材料は、原材料に占める重量の割合の多い順に記載すること。なお、分類名による表示も可能とする」という規定が。また、添加物についても加工の際に使われて完成前に除去される「加工助剤」を除き、使用したものを全て記載することとする。その際、甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤又は発色剤として使用されるものについては、用途名も併記すること」と規定されています。
原材料の表示順=栄養バランスではない点に注意して
また、原材料の表示順は、原材料の記載の仕方によって前後するケースも多く、原材料の表示順を見ただけでは、そのフードの栄養バランスまで知ることはできないといえるでしょう。キャットフードの原材料表示を見るときは順番に左右されず、どのような原材料が使用されているのかをチェックすることが大切です。
栄養バランスなどを知りたいときは「成分」をチェック
ただし、これはキャットフードに含まれる栄養素を分析したものであり、消化性などの品質まで判断するのは難しいといえます。また、この規約で定められている成分の表記には水分が含まれているので、水分量が異なる製品を比較する場合には、水分を抜く計算が必要になるでしょう。
キャットフードに使用される主な原材料とその役割
キャットフードの主な原材料「肉類」
これらはたんぱく質を多く含み、筋肉・皮膚・被毛・血液・内臓・ホルモンなど、猫の体を構成する重要な栄養素で、エネルギー源にもなります。また、たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、体内で合成できない「必須アミノ酸」は食事から摂取する必要があるため、猫にとって必要不可欠な栄養素です。
キャットフードの主な原材料「魚介類」
魚は種類や部位によって、たんぱく質や脂質(DHAやEPAなど)、ミネラル類、ビタミン類などさまざまな栄養成分を摂取することができます。猫の健康維持に欠かせない栄養素を豊富に含んでいるため、主原料として使用されることの多い食材のひとつです。
キャットフードの主な原材料「穀類」
キャットフードの主な原材料「豆類」
キャットフードの主な原材料「油脂類」
また、猫にとって脂肪は、細胞膜などの成分になったり、体の働きを調整するホルモンの一部を合成したりする働きがあるほか、生後4カ月くらいまでの子猫にとっては、非常に重要なエネルギー源にもなります。
キャットフードに使用される主な添加物とその役割
キャットフードに使用される主な添加物の種類とその役割
種類 | 主な目的 | 例 |
酸化防止剤 | 脂肪の酸化を防ぎ、キャットフードの保存性・嗜好性を高める | BHA、BHT、ミックストコフェロール、没食子酸(ぼっしょくしさん)プロピルなど |
着色料 | 季節や産地によって原材料の色にばらつきが出ることから、色調を整え、見た目をよくする | 赤色3号、赤色102号、青色2号、赤色40号など |
甘味料 | 猫の食いつきをよくするため、甘みをつけて嗜好性を高める | ソルビトール、コーンシロップなど |
発色剤 | 主にウエットフードに微生物が繁殖するのを抑え、肉の変色を防ぐ | 亜硝酸ナトリウム |
保存料 | 主にドライフードに微生物が繁殖するのを抑え、腐敗を防ぐ | ソルビン酸カリウム、ソルビン酸など |
増粘安定剤 | ウエットフードのしっとりとした質感を出したり、ゼリー状のとろみをつけたりする | カラギナン、グァーガム、加工でん粉、プロピレングリコールなど※複数の多糖類を使用する場合は「増粘多糖類」と表記できる |
保湿剤 | ウエット(セミモイスト)フードの乾燥を防ぎ、しっとりとした質感を保つ | プロピレングリコールなど |
香料 | 香りをつけて嗜好性を高め、猫の食いつきをよくする | 原材料には「香料」のみ記載 |
キャットフードに添加物が使用される理由
たとえば、猫の健康に欠かせない「脂肪」は、どのキャットフードにも含まれていますが、脂肪は酸素などに触れると酸化を起こしてしまいます。酸化したキャットフードは嗜好性が下がるだけではなく、嘔吐や下痢といった体調不良を引き起こすおそれもあるため大変危険です。このようなことが起きないよう、使用されるのが添加物です。
添加物には栄養バランスを整える働きも
そもそも「ペットフード安全法」によって、動物の害になるものを入れてはならないとされており、猫の体に危険を及ぼすものはを添加物として使用することはできません。キャットフードに使用される添加物は、猫の健康に影響を及ぼさないもの、あるいは、毎日食べても猫の健康に影響を与えないと科学的に証明された量のみを使用しているので、安心してくださいね。
その他知っておきたい! キャットフードの原材料に関するFAQ
キャットフードは米や小麦を含まないグレインフリーのほうがいいって本当?
穀物に対するアレルギーの猫でない限り、グレインフリーにこだわってキャットフードを選ぶ必要はないでしょう。
猫は肉食だから動物性由来の原材料のほうがいい?
ただし、猫はタウリンやアラキドン酸など、動物性の原材料にしか含まれていない栄養素を要求するので、人や犬のようにベジタリアンとして生きていくことはできません。
国産のキャットフードのほうが良質って本当?
なお、キャットフードのパッケージに掲載されている原産国は、そのフードが最終的に加工された国のことであり、原料を調達した国を反映しているわけではありませんので、国産の原材料にこだわりたい場合は注意が必要です。
キャットフードは猫の年齢や体質に合ったものを選ぶことが大切
キャットフード選びにおいて大切なことは、フード全体の栄養バランスです。パッケージに「総合栄養食」という記載があるキャットフードは、新鮮な水とともに与えるだけで猫の栄養基準を満たし、表示された成長段階の健康を維持できるよう調整されたものですので、主食は「総合栄養食」のなかから、愛猫の年齢や体質に合ったものを選ぶようにしましょう。
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