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【獣医師監修】治りにくい猫の口内炎 原因と治療法、予防法を紹介

猫も人と同じように口内炎になりますが、その原因には重篤な病気が潜んでいることもあるので注意が必要です。そこで今回は、猫の口内炎の症状や原因、治療法、予防法などについて詳しく解説します。

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猫の口内炎ってどんな病気?

あくび
getty
口内炎は、猫の口腔内トラブルの中でもっとも多く、年齢が高くなるほど増加傾向にあるといわれています。人の場合は口の中の一部にだけ炎症がおきるイメージが強いですが、猫の場合は一部だけではなく、口の中の広範囲に炎症が起きてしまうのが特徴です。

人の口内炎のイメージから軽視していると、重症度によっては相当な痛みを伴い、食事が困難になることも。具合が悪いことを伝えられない猫にとって、口内炎は体の不調を伝える大事なサインだと考えてもよいでしょう。

猫の口内炎は大きく分けて2種類

なお、猫の口内炎は以下の2種類に大きく分けられます。

(1)系統性口内炎

全身性の疾患によってできる口内炎を「系統性口内炎」といいます。詳しくは後ほど解説しますが、ウイルス性の感染症や腎臓病などが主な原因として考えられています。

そのほか、ビタミン不足(栄養不足)や抗生物質による長期の治療、疲労、何らかの病気による免疫力の低下と細菌感染が複合して発症することもあるでしょう。

(2)潰瘍性口内炎

潰瘍(かいよう)を伴う原因不明の慢性口内炎のことを、「潰瘍性口内炎」といいます。歯周病から歯肉炎→口内炎と発展するケースが多いようです。

猫の口内炎の主な症状は?

猫(キジトラ猫)
igaguri_1/gettyimages
猫の口内炎を初期段階で見つけることは、とても難しいとされています。そのため、日頃から猫の様子をよく観察し、以下のような症状が見られた場合は、口の中をチェックしてあげるのはもちろん、必ず動物病院を受診するようにしてください。

初期症状

  • 今まで感じなかった口臭がある
  • 口の中が少し赤くなる
  • ヨダレが出る
  • 食事の際に痛そうに頭を振ったりして食べる
  • 柔らかいものしか食べなくなる
  • 口元を前足でかく、口元を気にする素振りをする など

悪化した場合

  • 食欲がなくなる
  • 口臭がかなり強くなる
  • 口の中がかなり赤くなる
  • 口を開けていることが多い
  • 水をあまり飲まなくなる
  • 毛づくろいをしなくなる
  • ヨダレが多くなる
  • あくびをしている最中に痛がる

重篤な病気の可能性も!猫の口内炎の原因

眠る猫
getty
猫がなぜ口内炎になってしまうのか、はっきりとした原因はわかっていません。ただし、傾向としては、以下のような原因で口内炎になることが多いとされています。

歯周病による細菌感染

歯周病になると口内に炎症が広がります。そこに細菌が増殖することにより、歯肉炎から口内炎になることがあります。猫の歯周病については、以下の記事を参考にしてみてください。

免疫力の低下

免疫力が低下すると口の中の細菌が増え、その結果、口内炎ができてしまうことがあります。猫の免疫力の低下の原因については、以下の記事を参考にしてみてください。

ウイルス性の病気

口内炎の種類によっては、ウイルス性の病気が原因で免疫が低下し、症状があらわれているケースも。一向に症状がよくならない場合は、以下のような感染症が疑われます。

猫カゼ

カリシウイルスやヘルペスウイルスに感染して発症する病気です。主に結膜炎や口内炎の症状が出て、繰り返し再発する場合があります。

猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)

「猫エイズ」とも呼ばれており、発症すると免疫力を著しく低下させてしまう病気です。この病気が原因の場合、口内炎が治ることは難しいといわれています。

猫白血病ウイルス感染症(FeLV)

白血球数が大幅に減少し抵抗力がなくなるため、口内炎を起こしやすくなります。この病気になった場合も、口内炎が完治することは難しいとされています。

腎不全

猫が腎不全になると、難治性の口内炎にかかるケースも見られます。猫の腎不全については、以下の記事も参考にしてみてください。

猫の口内炎は自然に治る?症状別の治療法

抱かれる猫
getty
残念ながら、猫の口内炎は人と違ってなかなか自然には治りません。そのため、異変を感じたら早めに動物病院を受診することが大切です。

系統性口内炎の治療法

系統性口内炎の場合は、口内炎の原因となる病気の治療を優先するのが一般的です。例えば、細菌感染が疑われる場合は、細菌を抑えるために抗生物質の投与などが行われます。

なお、系統性口内炎の治療では、抗ウイルス剤であるインターフェロンや、抗炎症剤のステロイドなどが用いられることもあります。

潰瘍性口内炎の治療法

口臭があり、歯石や歯垢が見られる場合は、全身麻酔を使用して歯石や歯垢の除去する治療が行われることがあります。また、口の中の痛みが強く、歯を抜いたほうがよい場合は、歯石や歯垢の除去と合わせて抜歯をすることもあるでしょう。

そのほか、自然治癒力を高めて痛みなどを軽減するために、レーザー治療が行われることもあります。ただし、獣医師によってはその効果の判断が分かれるため、気になるときは獣医師に相談しましょう。

飼い主さんにできる猫の口内炎の予防法

食べる猫
getty
猫の口内炎は、日頃のケアなどで予防できるケースもあります。

歯磨きをする

先述のとおり、口内炎は歯垢や歯石が原因となるケースも多いため、口内炎を予防するためには、こまめな歯磨きが欠かせません。ペット用歯ブラシとペーストを用意して、歯磨きで愛猫の口内環境を清潔に保ってあげましょう。子猫のころから慣らせておくのが一番です。

スムーズに猫の歯を磨く方法を知りたいかたは、以下の記事をチェックしてみてください。

歯垢や歯石がつきにくいフードを与える

なるべく歯垢や歯石がつきにくいフードを選択するのもひとつでしょう。一般的には、ウエットフードよりもドライフードのほうが歯石がつきにくいといわれています。

サプリメントを使う

口内炎は免疫力の低下によってもできてしまうため、免疫力を上げることを目的としたサプリメントを与えるのもよいでしょう。口内炎の予防には、デンタルバイオをはじめとする乳酸菌を含むサプリメントがおすすめです。乳酸菌は免疫力をアップさせるだけでなく、口内の悪玉菌を抑制して減少させる効果があるため、口内環境の改善が期待できます。

ただし、持病があって薬を服用している場合には、サプリメントを飲むことで薬の効果を妨げてしまう可能性もゼロではありません。また療法食を食べている場合も、サプリメントと併用できないケースがあるでしょう。サプリメントを使用する場合は必ずかかりつけの動物病院で相談し、獣医師の許可を得るようにしてください。

ワクチンを接種する

ウイルス感染による口内炎を予防するには、定期的なワクチン接種が有効です。猫のワクチンについては、以下の記事を参考にしてみてください。

マヌカハニーを与える

ニュージーランドの特定の地域でしか採れないマヌカハニーと呼ばれるはちみつは、一般的なはちみつとは違って「食品メチルグリオキサール」と呼ばれる成分が豊富に含まれています。
この成分は高い殺菌作用に加えて、高い抗ウイルス性効果をもつために、歯周病や歯肉炎の防止に効果的だといわれていますが、はっきりと証明されているわけではありません。効果にも個体差がありますので、治療の補助として少量を与えてみてもいいでしょう。

猫の口内炎の治療に関するQ&A

食べ終わった猫
getty
長い期間に渡る口内炎の治療では、動物病院の指示どおりに投薬や食事を行っていてもうまくいかないこともあるようです。ここでは、猫の口内炎の治療に関するQ&Aをご紹介します。

Q1.処方された薬が効かない場合は?

A1.必ず獣医師に相談を

まずはかかりつけの動物病院で獣医師に相談したほうがよいでしょう。口内炎の原因を調べて、その猫に合う対処法をとっていくことになります。

Q2.猫が食べづらそうにしているときの対処法は?

A2.ウエットフードに変更するのも手

この場合、口の中の痛みが原因なので、患部をあまり刺激しない状態にしてあげたいです。ドライフードと比較して、ウエットフードは温かくて柔らかいうえ、水分を多く含んでいるので、食べたときの口当たりがいいでしょう。特に嗜好性が高いフードがあれば、それを与えるのもひとつの手です。

Q3.痛み止めの効き目が落ちているかも?

A3.治療法について獣医師と相談を

痛み止めの効果は個体差があるうえ、体調によっても効き方が違います。また、痛み止めを飲んでいくうちに、だんだんと効かなくなってくることがあるのも事実です。
内科的な治療は一時的な症状の改善が見られても、完治にはつながらないと考えられているので、どうしても痛みが治まらない場合は抜歯などの外科的な治療に進むこともあるでしょう。獣医師に相談することをおすすめします。
ひとくちに口内炎といっても原因はさまざまです。気になる症状が見られたら、必ず動物病院で診てもらいましょう。
参考/「ねこのきもち」2017年3月号『猫にも花粉症が!?春はとくに気を付けたい 粘膜に症状が現れる病気』
   「ねこのきもち」2017年4月号『治りにくいからこそ予防と早期発見が大事です!一度かかると長いお付き合いになる病気』
   「ねこのきもち」2017年9月号『データで見る 愛猫を守るためにできることが見えてくる!イマドキ猫の健康事情』
   「ねこのきもち」2017年1月号『読者の克服ワザも 今年こそ、愛猫に歯磨きしたい!』
監修/ねこのきもち相談室獣医師
文/こさきはな
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
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